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あとがき

先日、4話からなる物語を書き終えました。これはそのあとがきです。

■制作ノート
物語は、hatenaの「今週のお題」を使った日記を書いてみようと考えたとき、ふと、その言葉を含んだ物語を書けないだろうか?と思って、書き始めました。

第一話「ちょっとしたぜいたく」
第二話「あこがれのヒーロー、ヒロイン」
第三話「センチメンタルな秋」
第四話「寒い日に食べたい、あったかーいものとサンタクロース」

そのときのお題だった、「ちょっとしたぜいたく」という言葉にいろいろかき立てられたことがきっかけです。

私は新宿勤めで、ナポリタンの美味しいBarは実在していてます。そこは、私にとって「ちょっとしたぜいたく」をしにゆくところだったりします。
けれどそのまま書くのはなんというか…気恥ずかしさを覚えてしまい、ならば架空の人物を通して語ってみようか…という気になりました。

たまたま有川浩さんの「阪急電車」を読んだばかりということもあり、主人公を女性にした話に、ナポリタンの美味しいBarを出してみようと思ったのです。

何回か続けるつもりだったので、最初の一話はすんなり書けました。
その後の展開は、仲のいい同僚がいないのはBarを教えてくれた友人となにかあったことが原因で、偶然再会して…くらいに考えていて、文章中に必ず今週のお題を使うというルールを設けることにしました。

ところが次にきたお題が「あこがれのヒーロー、ヒロイン」。
どうつなげればよいのかすぐにはまとまらず、これには悩まされました。
通勤の行き帰りや仕事の合間にうんうんと考えた結果、主人公を芸大卒として、その卒業制作のテーマとして吸収するすることにしました。一話目で主人公の勤め先をはっきり書いてなくて幸いでした。

そこを絞り込むことで、Barを教えてくれた友人、加沢とのあいだに生じた問題も、だいだい見積もることができました。
一話目で、主人公について、給料日があわないことを理由に大学の友達と疎遠になったと書きましたが、それって表向きの理由、なにかの言い訳に聞こえます。シンプルに受け止めると、会いたくない相手がいたからだろう、と考えられます。ならばそれは共同制作の相手ではないか? 男女である以上、もめるとすればそれもまたシンプルでしょう。
そんな風に、身の上を洗うような具合で掘り下げてゆきました。
さいごまで悩んだのは、主人公と加沢がそれぞれ作ろうとしたペアの像とはなにか?です。
女子プロレスはわりあい早く思いつきましたが、女子プロとは縁のない、肉体美が伝わってくる男のペアってなんだろう…と。

その次のお題は「センチメンタルな秋」でした。
使いやすそうに思えてホッとしましたが、いざ書き出す段になって、普段の生活では使わないであろう言葉ということに気がつき、悩むはめになりました。少なくとも私の周りに、いまだかつてこんなことを言った人はいなかったので…。
三話は、主人公が自身の心の内を自覚してゆく展開だったので、最終的に、「センチメンタルな秋」なんて言葉を真顔でいう人はいないだろう→冗談めかして言う、というかたちにまとめました。“ナポリタンよりも顔を赤くしたまま〜”のくだりは気に入っています。

そして次のお題は…?というタイミングで、「今週のお題」が特別編と称されて企業協賛となってしまって、一ヶ月弱ほど物語がストップしました。
待っている間に秋が終わって冬になってしまったのは予想外でした…。


今週のお題」がもとに戻って、新しいお題「寒い日に食べたい、あったかーいもの」が発表されたことには、3日遅れで気がつきました。このお題は物語に組み込みやすい!と思いましたが、落とし前のついてない問題の組み込みに時間がかかってしまいました。

このときあった未解決の問題は大きく4つでした。
1:マスターは主人公のことを本当に覚えていたのか?
  その場合どうして覚えていたのか?
2:壊された立像はどうなったか?
3:主人公に親しい同僚がいない理由は?
4:主人公と加沢はどうなったか?

まず当初考えていた、Barを教えてくれた友人の加沢と偶然再会して…の展開は強引すぎるのであきらめていて、なんらかのかたちで主人公が現状を省みて心機一転する方向へ持ってゆきたいと考えていました。

ぼんやりと考えていたことは…
・加沢と主人公は卒業制作の時に互いに意識しあった。主人公は彼氏と別れたものの加沢ははっきりせず、主人公は傷心した。
・けれど実は加沢は主人公のことを想っていた。(男ってうじうじ考えて行動できないことありますよね)
・そして主人公はBarで自身に向き合ったことで未練をたちきり、気持ちが前向きになる。つまり加沢はふられる。(女の人って思い切りいいことありますよね)
…という流れでした。

これらをまとめあげるのに時間がかかり、もともと今週のお題の発表に気がつくのが遅かったこともあって、書き終える前に次のお題がきてしまいました。
よりによって「サンタクロース」という冬の風物詩の言葉が。
秋を舞台にした物語なのにどうしようかと、これまた途方に暮れてしまいました。

結局、どちらのお題も使うというかたちでまとめました。
最後は縛りをちょっと拡大解釈してしまいましたが、一応終えることができてホッとしています。


■書いてみての感想
今回、私の知っている場所を素材に書き出して驚いたのは、私自身の経験や想いがぽろぽろ入り込もうとしてきたことです。油断すると、主人公がどうするかではなく私の気持ちを書き連ねていたりして、消しては書いてを繰り返していました。

私はごくわずかですが商業媒体に物語を出したことがあります。いずれも現代を舞台にはしていませんでした。
制約もあって(言い訳ですが!)細やかな心情を描くことはできないかたちでしたが、つたなくとも構成を行ってから書き出していたので、客観性を保てなかったことに戸惑いました。

…と、ここまで書いて気がつきました。

現実を舞台に、身近に居てもおかしくない人物やシチュエーションを描こうとしたから、筆が走ったのではないかと。
現代を舞台にしない空想の話は、その世界から創りあげなくてはならず、なによりもまずそこに時間がかかって…そこを説明しただけで満足していたかもしれません。

さらに気がついたのは、空想の世界の話を理屈抜きに紡げる人と仕事をしたことがあるのですが、凄いとしかいいようがない、ということです。当時も凄いなぁと思っていましたが、わかってなかったかもしれません。(今なおわかったと言っていいかどうか)

…とりとめなくなってきたので、時間も時間ゆえ、ここで終わります。

無責任ですが、今の私はとにかく書いてみる、をテーマにしていますので、ご容赦を…。