はじめに言葉ありき
頭の中で考えていることって、はっきりまとまっているでしょうか。
はっきりしているようでもその実、ぼんやりとした可能性が重なり合っていて、それを人に伝えようとして言葉にすると、重なり合った思考からひとつが選ばれる…そんな感覚はないでしょうか。
口にした時点で迷いがあって、言い直したりすることがあっても、おそらくは、言葉にしなければ言い直し=考え直すこともなかったのではないか。
そんなふうに思うことがあります。
観測することで生死が確定するというシュレディンガーの猫。
言葉を口にする行為と近しいのでは…なんてことを、考えている今日この頃です。
ひとの頭の中はあらゆる可能性が重なり合っていて、だからこそひとりで空想妄想するのは楽しく果てなく、言葉にすることで輝きがあせてしまうように感じることがある。
もちろん言葉に助けられて、頭の中で考えていたこと以上の実感を得られることもあるでしょう。
つまり。
すべては言葉にすることから始まる。
言わなくても伝わるという奇跡的なことがないとは言いませんが、言葉をつむぐことは、幾重にも存在する可能性からひとつを選択する行為なのだな…と。
「はじめに言葉ありき」
なんとなしに聞いていた文言でしたが、今日、思い切った気持ちを言葉にして、その重みを感じています。